プレス情報
2018年07月11日 中建日報
初会合から活発な議論
「初期ひび割れ」など3協議会
元広島工業大学教授の十河茂幸氏が中心となり、異業種間の連携強化によるコンクリート構造物の長寿命化を目指す近未来コンクリート研究会の設立後初となる部門別協議会が2日、広島市中区であった。会合では、「初期ひび割れ抑制技術(C)協議会」「延命化のための維持管理技術(M)協議会」「コンクリートの生産性向上(P)協議会」のそれぞれで主査(リーダー)を選出したほか、背景や実態などを整理。初回から活発な議論が展開された。
研究会は、「コンクリート業界は管理、調査診断、設計、施工、材料など異業種間の連携が希薄と感じていた」と話す十河氏が、連携による情報共有、合理化等を目的として今年4月に設立したもの。趣旨に賛同した業界団体等21者、個人会員17人が設立メンバーとして集まっていた。
十河氏は冒頭でこれらの経緯を説明したのち、「C協議会」の主査として(一社)コンクリートメンテナンス協会技術顧問の江良和徳氏(極東興和)、「M協議会」は広島工業大学教授の竹田宣典氏、「P協議会」は同大学准教授の坂本英輔氏をそれぞれ指名。
会員は希望する協議会(複数可)に所属し、今後はこの日の第1回協議会を含めて各4回の協議会を年度内に開催。議論の結果は中間報告として来年の総会で発表したのち、次の1年で提言としてまとめる方針も明らかにした。
第1回の「C協議会」は約40人の参加で開かれ、主査を務める江良氏が「立場が違う中、疑問や不満、改善してほしいことなど色々あると思う。ぜひご意見をいただき、一緒に考えていければ」とあいさつ。
十河氏によるインフラ老朽化の社会的背景や要因、データ等の解説を経て早速討論に入り、各参加者が異なる目線で捉えた問題点を抽出。「点検で足場をかけたら続けて補修もするなど柔軟に対応するべき」「設計と施工の段階で数量が全然違う。洗浄したら見えるひび割れもある」などの設計、施工サイドの話から、「予算を次年度に繰り越せない現状では色々と難しい」「予防保全というが、緊急度の高い橋の補修を行ったらその年の予算は尽きる」などといった管理者側の悩みも浮き彫りになるなど終了時間まで発言が止むことはなく、他2つの協議会も同様に白熱した意見交換が繰り広げられた。
十河氏は、「当初はロの字型テーブルのような形で議論するつもりだったが、予想より人数が多かった」と嬉しい誤算を口にする。また、「途中参加も歓迎する。幅広い業種の方に参加してもらえれば」とも話している。
参加申込み等は、同研究会のメールアドレス(info@nfca.jp)から行うことができる。