プレス情報
2019年5月7日 中建日報
3協議会が中間報告
今年度は発注者など外部発信も
近未来コンクリート研究会
元広島工業大学教授の十河茂幸氏が会長を務め、異業種間の連携強化によるコンクリート構造物の長寿命化を目指す近未来コンクリート研究会の第1回総会が4月19日、広島市中区で開催。「初期ひび割れ抑制技術(C)協議会」「延命化のための維持管理技術(M)協議会」「構造物の生産性向上技術研究(P)協議会」ごとに1年間の検討内容や今後の進め方などを盛り込んだ中間報告も発表された。
同研究会は、十河氏を中心にゼネコンや補修会社、コンサル、生コン業者など団体会員約20人で構成。業種間の枠組みを越えて現状の課題や解決策を議論し、2018年からの2年間で意見を集約することとしており、設立から1年経過したこの日の総会が議論の折り返し地点となっていた。
各協議会の中間報告のうち、C協議会(主査=竹田宣典広島工業大学教授)は、現状の問題点の整理に加え、初期ひび割れを防止するための発注・設計面の対策(ひび割れ予知活動、事前協議の資料作成、チェックリストによる責任明確化など)及び材料・施工面の対策(骨材寸法の大型化、低熱セメント、フライアッシュ適用、石灰石骨材、霧養生など)についての案を報告。2年目となる今年度は、発注者への意識向上の働きかけや広島県版チェックリストの作成などに取り組むとした。
M協議会(主査=江良和徳コンクリートメンテナンス協会技術委員長)では、複雑かつ多様な劣化メカニズムや発注形態、予防保全やLCCへの理解の低さ、さらに人的資源の不足などの課題を抽出。今後は解決に向けたさらなる検討や協議会メンバー技術向上のための特別講座の開催、関連雑誌への活動報告掲載などを行っていく。
また、P協議会(主査=坂本英輔広島工業大学准教授)は、マシンガイダンスや3Dレーザースキャナーなどに代表される建設分野へのIT活用、AIによる設計、BIM/CIMといった最新技術の動向を紹介した。施工フローや材料、生コン生産・運搬面での合理化の可能性にも触れ、課題解決には設計思想、受発注者の協力体制、関係法令、経済性など多面的な視点が必要であるとした。
総会ではこのほか、18年度事業報告や収支決算報告、19年度事業計画等を審議し、いずれも事務局原案通りに承認。今年度も各協議会4回ずつの会合を開く予定とし、十河代表は「建設業が持続的で明るい未来に向かうための議論。引き続き忌憚のない意見交換をお願いしたい」と述べた。