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2023年3月13日 中建日報 近未来コンクリート研究会 今年度最後の協議会で議論前進 「小規模橋梁の予防保全点検要領」作成へ
近未来コンクリート研究会
今年度最後の協議会で議論前進
「小規模橋梁の予防保全点検要領」作成へ
近未来コンクリート研究会(十河茂幸代表)は7日、今年度第4回目となる協議会を広島市内で開き、「初期ひび割れ抑制技術研究(C)協議会」「RC構造物の延命化技術研究(M)協議会」、「脱炭素コンクリート技術研究(S)協議会」のテーマ別に延べ約70人が参加。業種の垣根を越えて情報交換し、建設・維持管理等の「全体最適」に向けた議論を前進させた。
広島工業大学工学部の竹田宣典教授を中心に進めている「C協議会」の議論では、初期ひび割れの抑制や脱炭素化に効果があるとして以前から着目しているフライアッシュについて、広島県や富山・福井・高知県などの取組み事例を確認したほか、発注者を含めた合意形成が重要との認識を共有。28日以上が望ましいとされる管理材齢についても、土木学会の示方書で明確化するために、まずはデータ整理が必要であるとした。
同建築学部の坂本英輔教授が主査を務める「S協議会」では、前回協議会までに示されたジオポリマーコンクリートなどの説明に加え、ポリプロピレン短繊維を用いたコンクリートの二酸化炭素排出量の算定方法が紹介。解体・再利用の際にも再生コンクリートとして問題なく使用できるとの見解も示された。
また、極東興和の江良和徳氏による「M協議会」では、十河代表らが作成に携わった「小規模橋梁の簡易点検要領(案)」を活用した廿日市市と大竹市での点検事例がビデオで解説され、予防保全のためには中性化深さと塩化物イオン量の測定が必須であり、ひび割れの把握には橋梁を洗浄した上で劣化診断を行い、補修方法を提案する必要があるとの見解で一致。
同要領をもとに今後新規作成予定の「小規模鉄筋コンクリート橋梁の予防保全を目的とした点検要領(案)」にも触れ、補修を前提とした内容を求める意見が協議会内でもあったことを踏まえ、さらに検討を重ねることとした。
なお、これまでの協議会での内容は、6月開催予定の総会で報告する予定で、23年度以降も年4回程度の協議会を継続していく。